コタロー。

spoutnik2006-03-14

これが、知る人ぞ知る、そして恐れられてる、コタローくん(実家の猫)である。何が怖いって,フーフー、シャーシャー、凄いのである。おばあちゃんなぞは、「サルみたいで怖い」と言ってうちにあまり近寄らなくなってしまった。
この間の帰国でのわたしの大事な使命は,このコタローくんの下の世話。といっても別に介護が必要とかじゃないんだけど、どうも骨盤に若干の奇形部分があるため、ちゃんと毎日出ていないと詰まりやすく、詰まってしまうといきんでも出なくなるらしい。それで何度か病院に担ぎ込まれ、でも暴れるので処置をするのに麻酔が必要、でも麻酔で昏睡から醒めにくい体質であるらしく。。。まぁいろいろ大変で,とにかく浣腸をして毎日出すことが必要だと母親からは命じられていた。それと、おしっこも詰まる体質(病気)なので、これも毎日チェックが必要。まぁ実際、下の世話である。母親はもうかれこれ3年くらい、ずっと毎晩の浣腸を欠かしていないらしかった(カレンダーにその日の浣腸の量と、出た量が、克明にメモされている)。
昔はあんなにちっちゃくて可愛かったコタローくんもいつの間にか8キロの巨漢。しかも長い間離れて暮らしているので、もちろん私になついてくれない。(他人よりはマシだと思うけど、仮にも名付け親なのにぃ)。近寄っても大丈夫、だっこは・・・機嫌次第。でも使命だから,やらないわけにもいかぬまい。
心を決めて帰国当夜、早速浣腸に挑んでみたものの、大暴れして浣腸どころの騒ぎじゃない。無理強いしても仕方ないし、なにしろ緊張してきゅっとしまったおしりには浣腸の入る隙はない。
「1日だけ。1日様子見て。で、明日出てなかったらもう1回チャレンジ。。。」
使命感に燃えるわたしはちょっと心が痛んだし、もちろん気がかりではあったけれど、とりあえず1日目は諦めた。

それと同時に、「一緒に寝て仲良くなろう大作戦」を決行。と、どうでしょう!昼間はあんなに攻撃的なコタローくん、お腹の上(というかでかいので,わたしの上半身全部)に載せて寝っ転がると、ゴロゴロゴロゴロ、もぅ甘えっぱなし。母親から噂に聞いていた「首吸い(母親の首のたるんだ皮をおっぱい代わりに吸うこと、それに伴う猫特有の肉球プッシュ)」も披露してくれた。といってもわたしはまだ一応首がたるんでないので、首の所に顔を押し付けてくるだけだけど。
毎晩3週間、こうして愛を育んだわたしたち、最後にはかなり分かりあえるようになっていた。なかなか可愛いやつじゃないか!

で。下の世話はどうなったかというと。。。

なんと、初日の浣腸失敗以来、彼は自力で出し続けてくれた。3週間、毎日。出しまくってたくらい。何なんでしょ?わたしの推測だと「出ないとまた病院、出ないと死んじゃう」みたいな母親の心配がコタローくんにも伝わって,それがストレスというか精神的に落ち着かない気分になっていたんじゃないんだろうか?と思うのだけど。「コタローくん、自力でしてたよ」というわたしの言葉に半信半疑だった母親も,帰ってきてみて実情を知り、驚いている。そして今でもほとんどは自力でしてるらしい。
浣腸で出してやることも必要かもしれないけど、やっぱり小さな猫の身体には大きな負担になるはず。それが毎日でなくて良くなったこと、これは大きな収穫だと自負している。

産まれてすぐに「おしっこ出ない病」になり、それからの何年間かは入退院を繰り返すような生活を送っていたコタローくんも気づけばもう12歳。昔はぴんっと張っていたヒゲも、歳を取るにつれて下がってきた。そんな愛すべきコタローくん、ビバ・コタロー、長生きしろよ!