学校生活

背景の部分でも触れた、中学3年生に混じっての授業もはや4ヶ月。
クラスメイトとも友情らしきものも芽生えて来た。
ちょうど14歳、15歳といった面々なので、見ていてもなかなか面白い。
以前、日本にいた時にちょうどこのくらいの年頃の子供たちの家庭教師をしたこともあったけど、
今の私の歳で日本の中学校に入ると思ったらなかなか足がすくむけど、
フランスでは何故かとけ込めてしまうから嬉しい。
マルセイユという土地柄もあり、もともと問題児を抱える私立校なために、ちょっとくらい変わった東洋人がいても、あまり気にならないらしく。
さすがに、未だに歳を聞かれるけど・・・あまりにも衝撃を与えたらいけないので秘密にしている。だって、先生たちと同じ年代と知れたら・・・ビビるだろうなぁ。


ついこの間も、算数の授業でいつも隣になる女の子から歳を聞かれた。
レナ:「ねぇ、何歳なの???」
私:「え、レナよりもずっと年上だよ。」
レナ:「年上って?17歳?」

・・・どこをどうみたら17歳になるのかも分からないが、そんなとこからスタートされても困る。

私:「ううん。もっと上。」
レナ:「え〜、じゃぁ18?19?」

この調子で1つづつ上がり、25超えたくらいからは、声がなんかやけくそ気味。

レナ:「もぉ〜まぁいっか〜!」

別に教えたっていいんだけど、この難しいお年頃の子供たち、私が先生と同じ年代って分かったら、なんだか距離を置かれそうで・・・ってめっちゃ転校生の気分なので、私的にはこのままひっそり紛れていたいのだ。


フランス語の授業との兼ね合いもあり、実際に時間割的に受けられるのが、数学(週に4時間)と地理・歴史(週3時間)だけ。でも授業の内容もなかなか興味深くて、楽しみになりつつある。
特に歴史は、ちょうど第2次世界大戦あたりをやっていて、実際当時のフランスやドイツの動向について詳しく考えてみたこともなかったので、本当に目からうろこ満載である。
教え方も、日本のような「ポイントまる覚え」ではなく、全体の流れを、その当時の人々の立場や気持ちになって考えてみるような感じで、特にナチスドイツあたりでは、生徒たちの議論もわき上がる。
わたしも、ナチスドイツのことはちらっと知ってはいたけれど、「どういう方法で人々の心を掴んだか」「どうして人々はヒトラーの考えに賛同したのか」「ヒトラーの迫害の標的となったのはどういう層か」「何故他の国々はヒトラーの行動を阻止出来なかったのか」そして「第2次世界大戦のきっかけとなったヒトラーの行動」などについて、初めて知ることが沢山あった。実際に用いられていたプロパガンダな広告や当時の教科書など、目にする資料もとても新鮮。まぁ私が歴史全般嫌いで、ほとんどお勉強しないできたというのもあるんだけど、興味を持って勉強すると、こんなに深いものなのか!と。
CAP受験の必要性から始めた勉強だけど、こんなまた人生で持てたことに感謝の気持ちすら覚えたものである。


ただ。
たまに行われる定期試験。これが、曲者。
ちょっと理解したかな?程度では、出来ない仕組みになっている。
大概の場合、4つくらいの絵や文献がテスト用紙にあり、それについての設問があるのだけど、
例えば、ドイツの地図の中心に、横を向いたヒトラーの絵が描かれているもの。
Q「この絵の中で、ヒトラーはどっちの方向を向いていますか。何故ですか。」


・・・え?
どっちて・・・え?右?右翼?え?!

そうか、これはこの後のポーランドなど東欧諸国の方角、と言えばいいのだな!と思い、書き始めて、

・・・あれ?チェコスロバキアってフランス語での綴りはどうだったかなぁ・・・Tか?Cか?????

やけくそでカタカナを書いてしまいたい気持ちを抑えて、絶対に間違ってると確信しつつも書いたチェコスロバキア・・・あぁ恥ずかしい。


まぁこんな感じで、三十路過ぎたおばちゃんなわたしも、なんとか学生生活にとけ込みつつあったのだ・・・無理矢理ながらも。



しかし、この日12日、あるものがわたしの家めがけて出発していた。
そんなこともつゆ知らず・・・ナチスの綴りすら間違って出した答案のことで頭がいっぱいの私なのであった。