国民的心配事〜その2〜

spoutnik2005-04-26

今、フランスでみんなの関心を集めている事がもうひとつ。それは、5月29日に行われる「EU憲法国民投票」。全EU加盟国の承認が必要なこの憲法の可決を食い止めるべく燃えている人たちがここフランスにもたくさんいる。とはいっても、現時点で賛成42%、反対58%。投票までの1ヶ月は各地で反対、賛成の各運動が行われるみたいで、実際学校のあるエクスでも「No!」のプラカードを掲げた人たちが集まってなにやらやっていた。マルセイユにもあっちこっちにポスターが貼ってある。
イマイチ実感が湧かないのは私がEU人ではないからだろうけれど、彼らにしてみたら自分のところの憲法なんだから、かなり真剣(なんだろぅ)。
ではどのあたりに「反対」なのかというと、まず「長くて要領を得ない」。それでも国のため、EUのためにバカンスを費やして読んだといううちの担任が、この憲法に盛り込まれているおかしな点を指摘してくれた。
まず、「EU加盟国の国民は、EU内で仕事を探す事が自由である」。・・・?探す事が自由?って確かにちょっとおかしい。「仕事を探すのと、仕事を見つけることは、全く別。探す自由なんて、訳わかんない!」
それから、「EU加盟国の国民は、自国で会社を興してその会社をEU内で展開しても良い」。まぁ、ここまではいい。「しかも、自国の法律をその会社内で適用しても良い」・・・?あれ?でも、同じEUでも、労働条件とか保険のシステムとか、給料とか、国によってかなり格差がある。「ってことは、例えば私が会社を興して、物価のより安い国で劣悪な条件で人を雇って製品を作って、フランスで売ったりだとか、できるってことよ?あり得ない!」
さらに「キリスト教の保護がなんとかかんとか。。。」・・・?だって、フランスって一応無宗教な国ってことになってるんじゃ?実際にはキリスト教徒もたくさんいるけれど、こういう憲法だとか公なところで宗教の話を出されるのを非常に嫌うフランス人。「なにコレ!そんなこというなら、ヨーロッパなんてもともとはユダヤ教でしょ?ギリシャ神話だって昔っからある。それをさしおいてキリスト教?!だいたい、フランスは無宗教なんです、無宗教!それについて何も書いてない。こんな憲法、受け入れられません!!!」
・・・彼女の言うことはどれも説得力があるように感じてしまうが、これって私たちが1年かけて洗脳されているのか?いずれにしても、この長ったらしい憲法を読む人が増えれば増えるほど、反対する人も増えそうな勢いである。ただ、これだけ多種多様な国を寄せ集めてあるEU、全加入国の承認が得られる日は来るのだろうか?という疑問も沸いてくる今日この頃。