献血についてのエトセトラ

spoutnik2005-05-23

注)これは血ではありません。少し前に作った自家製いちごジャム。

日本にいた頃、密かに通っていたのが献血。最初行ってみるまでは気が進まなかったのだけど、やってみると、しばらくのんびり横になっていられるし、夏でも涼しいし、アイスやコーヒーなど飲ませてくれるし、読みたかった漫画も読めるし、しかも成分献血をすると細かい成分表を送ってくれるし、その上「なんだかいい事した」と思わせてくれる。初めての成分献血で、気を失いそうになって途中で止めたにもかかわらず、ちゃんと成分表を送ってくれた。抜いたぶん、身も軽くなった気がするし、こんなわたしでもささやかながら社会に貢献した気分になれる、貴重な場所であった。
そんなささやかな喜びなのに、5年ほど前から得る権利がなくなってしまった。というのも、ヤコブ病キャリアの可能性があると言う事で、イギリスはじめ、ヨーロッパ諸国に6ヶ月以上滞在していた人は、今のところ献血をしてはならないのである。この事を初めて知ったのが、最初にフランスから戻った5年前。正直ショックだった。なんだか日本での居場所を失った(というのは大げさだけれど)ような、自分がほんとに役立たずになったような。
それならちゃんと検査できる機械を導入すればいいのに、と思いながらも、「確かに私のせいで他の人までヤコブ病になっては申し訳ない」と、とりあえず納得することにして、それからしばらく献血からは遠ざかっている。
さて、先日、学校のあるエクスで見かけたバス。お、なんだか懐かしい感じのバスだわ、と思ったら、横にハートマークとともに「Don du sang」の文字。あ〜!献血バスだ〜!と心躍ると同時にわき上がる疑問。「日本ではフランスに住んでいた人は献血しちゃダメなのに、フランスではいいってことだよね、やっぱ?」
コレは気になる、ということで早速、両国の献血出来ない人の条件を比べてみた。
ということで、いくつか目を引く相違点をあげてみると、

  • 日本
    • 心臓病、てんかん症など、献血の行為自体に危険が伴う人
    • 各種伝染病の危険国に渡航歴のある人(例えばマラリアのある地域だと帰国から3年できない)
    • エイズ・肝炎の人
  • フランス
    • 各種伝染病のある国に渡航歴がある人

 (日本での欧州のように、無期限と言うのはない。ヤコブ病関連でダメなのは、イギリスに1989年から1996年までの間に1年以上滞在していた人に限られる。滞在していた人マラリアについては4ヶ月。日本より甘い。)

    • 4ヶ月以内に新しい恋人と初めての性行為をした人
    • 橋本病など甲状腺の病気の人

その他、タトゥーについては日本→1年以上、フランス→4ヶ月。ピアスは日本→1年、フランス→記載なし、という感じ。
全体的に「待つ期間」が日本の方がフランスよりも長く、血の内容に関する危険だけでなく、例えば心臓病の人は献血はしない方がいい、というあたりが日本独特といったところ。
フランスでは、「新しい恋人と〜」の項目が日本にはないのと、エイズという単語を具体的に使っていない事が印象的。(性的さすらい者はダメって書いてありますが。)橋本病という具体的な表記がやけに目を引く。
最新情報としては、両国で最近「アメリカ、カナダなどからの帰国後1ヶ月(日本は3週間)待つこと」、というのがある。ナイルの蚊が”意地悪な”ウィルスを持っているらしい(日本でいうところのナイル熱)。フランスでは南仏の湿地帯カマルグに行った人も1ヶ月待つ必要がある。

献血できる人の制限以外にも、ちょっとした違い(年齢制限など)もあるけれど、その中でも違いが目立つのは、成分献血をする為にはフランスでは予約を取って施設に出向かなくてはならないというところ。さすが、何をするにもまず予約、の国。
日本でもどうやら5月からわたしも献血できることになるっぽい。。。っと思ったら大間違い、制限が強化されただけか。。。
というわけで、さらに知りたいという方はこちらでも参考にしてみて下さいな。(日本の方では、ここのHPではまだナイル熱の事は触れられていません)
日本↓http://www.geocities.jp/kenketsutishiki/about.the.person.who.cannot.do.blood.donation.html
フランス→http://www.dondusang.com/condition.htm#VNO
フランス在住のお友達などは、こちらを見るとかなりブルーな気分になります。。。しかもカッコ扱い。
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/iyaku/kenketsugo/7m2.html#1
こんなに言われてるフランスで普通に献血バスがいて本当に大丈夫なんだろうか、っていうか私自身、大丈夫なんだろうか、と、ふと不安になる。