ヒエラルキーについて

spoutnik2005-07-25

フランスでは、一応階級制度って言うのは、革命をきっかけになくなったことになっている。貴族も平民もなく、みんな平等に様々な権利がある。労働の権利も、教育を受ける権利も、国から保障を得る権利も。
それでも、「やっぱりここは、階級制度が根強く残っている国だなぁ」と実感する機会が度々ある。例えば。。。
今のお店でバイトするようになってしばらく経つけれど、ひとつ疑問に思っていることがあった。それは、「掃除はいつしているんだろう?」ということ。もちろん、自分が使う作業スペースの掃除は私たちがその日の作業を終えた時にやっているのだけれど、お店の中とか、大きな冷蔵庫、鉄板を並べる台などが、いつの間にかキレイになっていたりする。かといって、他の従業員が掃除をしている光景というのには出くわしたことがない。冷蔵庫も、たまにパトロンが「こっちの冷蔵庫、掃除するから空けといて」なんて言うものだから、「パトロン自ら冷蔵庫を掃除するのかぁ、感心だなぁ。」などとのんきに考えていた。
さてある日、仕事をしていると見知らぬ男性がいる。「業者さんかな?」と思ったのだけど、なんだか珍しいなっていう印象を受けた。その珍しさっていうのが、ここのお店でノワール(黒人さん)を見たことがなかったから。自分でも不思議だけど、一瞬「不思議な感じ」がした。わりときちっとした格好をして、年齢も40代くらい?、すごく真面目そうな人で、営業の仕事の人かな、と思ったのだけど。。。
実は、彼は掃除屋さんだったのだ。「じゃぁ今日はこれとこれと、この冷蔵庫と、あと、こっち」なんてパトロンに言われて、黙々と掃除をしている。でも、日本で働いていたときの感覚で言えば、全部お店で働いている人たちで掃除をすれば済むような程度のものである。わざわざ、そのために人を使わなくても。。。
結局のところ、これって「じゃぁ掃除をする仕事がなくなったら、掃除をして生きている人の生活の糧がなくなってしまう」という考え方から来ているのだと思う。こういう考え方の根底にあるのは、やはり階級制度、そして掃除屋さんをして生活するのは、なぜかノワールの人たち、という図式がある気がする。第3世界的。
こういう根強い感覚って言うのは、やはり私には理解しきれないと言うか、感覚なので、なんとも受け入れるしかやっていかれない。日本で路上生活者から、「お金をくれ」と言われた経験がない、というのはきっとこっちの人からしたら「???」なのだろうし、私からしたら「人にお金を頼むんだったら働け〜!」と思ってしまう、どうしても。
まぁこうした(精神的)階級制度の中で、一番下層にいるのは誰かっていうと、私のような外国人学生なのだけれど。