また映画

spoutnik2005-07-26

・・・を観た。
日本映画。雀洋一監督の「血と骨」がマルセイユでもロードショーされているので行ってきた。
もともと雀監督の映画は好きなんだけど、フランスでは「キタノ」が出ている映画として話題を呼んでいるようで、映画館でも「Blood and Bone」という英語の発音(こういうタイトルなのです)に手こずっていると「キタノが出ているやつね?」と聞かれた。
「12歳以下禁止指定」映画になっているので、さぞかしエッチなシーンもしくは暴力シーンが満載なのだろうと覚悟はしていたものの。。。どちらも予想以上で。特に女性に対する暴力はちょっと。。。ヤだった。
すぐ前に座って観ていたマダムは、豚の解体のシーン、ウジ虫のわいた肉をたけしが食べるシーンなどで、いちいち視界を手のひらで覆って、嫌悪感を表していた。
日本人=アジア人=韓国人.中国人、朝鮮人・・・といった具合に区別のつかないフランス人に、どこまで理解できたかは謎である。私自身、途中で韓国語と日本語と入り交じっていると、何を言っているのか聞き取れない部分もあり、なかなか「日本映画だから」とおちおちしてもいられなかった。
特殊メイクというのは(特に歳を取っていく様を特殊メイクでというのは)どうもあまり好きでないというか、そういう技術が発達していなかった時代には思い切って違う役者さんを使っていたわけで、実際老人の役は老人がやった方がいいような気がする。「あぁ、特殊メイクで老人にしているんだなぁ」と我にかえる瞬間、映画の世界から現実に戻ってしまって、もう入れないというか。
一番好感が持てたのは、やはり暴力を振るわない婿役。「日本人は日常的に女性を暴力でねじ伏せる」というイメージがフランス人の中に植え付けられなければいいが。。。と願いつつ、実際そうでないことを祈って止まない。
戦争と、その直後の日本。こういう映画が、「キタノが出ている」という理由(だけではないかも知れないが)でフランスでロードショーされるということ、キタノ監督がいかにフランスにおいて注目されているかが分かる。また、映画の紹介記事では「自分で監督をするのではなく、役者として参加しているのでビートたけしという風に名乗っている」と説明もあり、雀監督はかなり影が薄い存在である。
ただ、「なんだかすっきりしない終わり方」というのはフランス受けする要員のひとつなのでは?この映画が日本でどのくらいのヒットをしたのか分からないけれど。。。
いろんな要素を含んでいて、いったい誰に感情移入をしていいのかおろおろしているうちに終わってしまった、そんな感じであった。日本で観るのと、異国で観るのと、また違うのだろうけれど。