Bombon, el perro〜犬のボンボン〜

spoutnik2005-09-07

予告通り、アルゼンチン映画の「Bombon, el perro」を観て来た。
これが、期待以上に良かった。
ストーリーは、(こういうの説明するの苦手なのだけれど)
ガソリンスタンドで働いていたおじさんジュアンが、スタンドの閉店とともに職を失ってしまう。手彫りの柄のついたナイフを売り歩いてみても、なかなか売れない。身を寄せている娘一家の部屋も居心地は悪く、厄介者扱い。
職安に行ってはみるものの、景気の悪いこのご時世、50代でガススタ経験しかないジュアンに、そう職はない。
そんなある日、車が道でエンストを起こして困っている女の子を、彼女のうちまで150キロ、車を牽引して行ってあげる。彼女の家はちょっとしたお金持ちで、亡くなった父親が可愛がっていたと言う、いい血統のアルゼンチン犬(ボクサー犬みたいの、おっかない感じ)を面倒みてくれないか、と譲られる。犬の血統のことなどてんで分からないし、無職で犬を飼う余裕なんてないジュアンだったけれど、なんとなくその犬に惹かれて、娘の家に連れて帰る(とりあえず、「犬」という名前で呼んでいたりしてかわいい)、が、娘が激怒して、犬ごと追い出されてしまう。
で、ここからジュアンの運命が思わぬ方向に。。。
という感じ。
犬とおじさんのロードムービーって勝手に思っていたけれど、ロードムービーではなかった。
で、観ていていちばん心打たれたのは、ジュアン役のおじさんの表情。うまく言えないけれど、なんとも深い表情。暖かくて、悲しくて、純粋、素朴。こんな演技が出来る役者さん、そんなにいないなぁ〜、日本人でもアメリカ人でも・・・思いつかない、って思っていたら、どうもこのジュアン役のおじさんは、実際にガソリンスタンドで働く労働者のおじさんを、監督がスカウトして来たんだそうだ。なんだか妙に納得、だけれど、ここまでいい顔ができる人をきっちりスカウトしてくる監督がすごい。
内容も、犬とおじさん、っていう設定から想像するような「あったかハートウォーミング」じゃないし、明らかに涙をそそるっていうシーンもない、派手な演出もない。でもなんだかじわじわっとくる。
犬も、おじさんも、その他登場人物も、風景も、設定も、何もかも良く出来ていると。この夏観た中で一番良かった。
来週から、いよいよジム・ジャームッシュの「Broken Frowers」やるようなので、観に行かなくては。でも、予告を観た感じ、台詞が早くてやばそうだった。。。理解できるかしら。。。