Broken Frowers

spoutnik2005-09-13

ジム・ジャームッシュ、観て来た。
http://www.festival-cannes.fr/films/fiche_film.php?langue=6002&id_film=4278008
カンヌグランプリということもあり、けっこう人も入っていた、ような。
予告編を観て、台詞が早く、「やばい、こんなんじゃもしかして脳内パニックになるのでは?!」と心配しながら入ったが、けっこう大丈夫だった。それどころか、染まりやすいわたし、帰り道でもし誰かに話しかけられたら、うっかり「ヤー!」と返事してしまいそうな気分だった。
オープニングとエンディングの音楽が、今も頭をまわってる。で、その音楽とともに、「ナイト・オン・ザ・プラネット」のウィノラ・ライダーを思い出したりとか。テーマは違うけど、やっぱりジム・ジャームッシュ・ワールドっていうなんともいえない説得力があった。
こういう、特にぱっとしている訳でもなく、派手な演出もなく、涙を誘うシーンもなければ、ハラハラドキドキもない、とにかく味がある、っていうのはいいと思った。映像もキレイだったし、音楽がまたいい。
日本では上映したのかしら?内容は。。。
いわゆるドン・ファンのような、女には困らない生活をしてきたらしい、ドン。でも今はすっかり覇気のない50くらいのオヤジである。子供はいない。ある日、妻のシェリーが「あなたの妻でいても愛されている実感がない」というようなことを言って家を出てゆき、それと入れ違いに1通の手紙が届く。
「もう20年も会っていないけれど、あなたと別れる直前に身ごもった息子が今17歳になり、父親を捜す旅に出るようです」
差出人も、住所もないその手紙を、隣人ウィルソンに見せると、ノリのいい彼は探偵気取りで過去の恋人を訪ねるツアーを勝手に企画し、ドンをかつての恋人とまだ見ぬ息子探しの旅に送り出す。「ピンクのバラを持って訪ねろ!」と。
20年経っても、(ってことはまぁ若くて40)美しい過去の彼女たち、でもそれぞれにそれぞれの20年があり、そのことに戸惑うドン、そして思ってもいなかった息子がいるかもしれないという謎の手紙(かどうかは分からないが)に翻弄される。
こういうことって、実際の生活に置き換えてみるとかなりデリケート。だって、20年前の恋人を訪ねる、まではまぁあり得るとしても(その動機付けは難しいが)、そのうちの誰がその手紙を送ったか、ということはじかに聞く訳にいかない。だって「君くらいの時期に付き合ってた人が何人かいて、そのうちの誰かが子供を産んだみたいなんだけど」なんて言えないもの。っていうそのあたりが面白い。
アメリカのいろんな生活が垣間見れるのも面白かった。アメリカ的考え方とか。
それにしても、人それぞれ筆跡が違うように、映画監督もそれぞれに個性があって(まぁ当たり前なんだけど)、その個性をしっかり映画に反映できる監督っていうのは、強力だなぁ〜って思った。