マルセイユからローマへ。

spoutnik2006-09-20

イタリア日記、初日。
夜行のバスに乗ってローマまで。
マルセイユのいちばん中心の駅、st.charlesのバスターミナルからの発車。
ちなみにこのターミナル、新装開店でとてもキレイになっていた。
もっとお金使う所、ある気がするけど・・・マルセイユ
まぁそれはさておき。
なんだか遠足気分でおやつとかお茶とかを持参してバスを待つ。
...が、来ない。
周りにもイタリアに向かう人がぱらぱら集まり始め、
聞こえてくるイタリア語に心うきうき。
と、1時間近く遅れて、バスが到着。
しかも・・・ほぼ満員!!!・・・これはまいった・・・。
夜行だから、もちろんのんびり寝る気満々で来たのに、
満席で席を選ぶ余地もない。(ちなみに高速バスの席は決められていないので、各自で確保しなくてはならない)
気が付けば、いちばん後ろのトイレの隣、しかも3人がけの席でカップルと相席・・・要は、とても居心地の悪い席、になってしまった。
前を向けば、筒抜けで運転席のフロントガラスが見える席…と書けばわかるかしら。
前に何もないっていうのはなかなかに落ち着かないもので、
しかもあとからあとからトイレに人がやって来て、その度に足がトイレのドアにひっかかるし、
隣のカップルはいちゃつくし、もぅ「なんでまたよりによって・・・」な席である。
それでももう他にひとつも空きがないような状態なため、しかたなくそこに収まり、
この旅の為に購入した「クビまくら」をクビにはめる。
これ、よく日本だとハンズのトラベルコーナーにあるような、浮き輪式にふくらませて首にはめる、コの字のクッション。
旅行前日にふと思いつき、思いついたらどうしても試してみたくなり、マルセイユの街を歩き回って探し当てたのだ。
(すぐそのへんのスーパーにあるかと思いきや、どこにもなく、薬局にも在庫がなく、アウトドアの店でようやく見つけた・・・)
そしてその使い心地といったら!これはもう、最高!
今までさんざん飛行機やら電車やらバスやらで旅行していたのに、どうして今までこれを買わなかったんだ・・・!と心から後悔した。
特にわたしのように、どこでもいつでも移動中はとりあえず寝る!タイプにはもしかして必需品?だったのだ!
この首が固定されてなおかつふかふかした感じ・・・寝ていなくても、首にはめているだけで楽ちん。これから旅の際には手放せなくなりそう。
・・・とまぁ、首まくらの宣伝はこのくらいで。
さて、ぎゅうぎゅうでどうなることかと思ったバスの旅、実際の所、フランス国内の移動の人も結構乗っていたらしくて、ニース辺りで一気に人が入れ替わり、なんとかまともな席に移ることができた。
と、そうこうするうちに、国境に到着。
以前スペインに同じようなバスで行ったとき、帰りに警察の監査が入って1時間ほど足止めされたのだけど、今回・・・はもっとひどかった。
恐らく、ついこの間の「ローマ法王の発言に対抗するテロ予告」の影響だと思われるのだけど。
まずは全員、パスポートのチェック。そして、怪しげだと思われる(コレ、多分警官の独断と偏見)人のパスポートを預かってひとまず警官が降りてゆく。
・・・戻ってこない。・・・戻ってこない・・・。・・・一体、パスポートの何をチェックしてるんだ・・・。
だんだん、バスの乗客たちの仲間意識が芽生えてくる。と、誰かがつぶやく「くっそ〜、なんだよ、荷物出すのかよ?マジで?!」。
にわかにざわめき出す乗客たち。みんな窓から下を覗く、と、確かに警官たちは、下の荷物庫からみんなの荷物を路上に並べている。
「ちょっとぉ、なにあれ?これから全部見るつもり・・・?!」
なにしろ、時間は夜中の2時。寝ているのに起こされただけでなく、足止めをくらってさらに荷物まで開けられるとなると、普通の人ならまぁ機嫌が悪くなる。
暗くて何が行われているかも分からないまま、何をしているかの説明もないまま、ただ時間だけが過ぎてゆく。
するとまた、おもむろに警官たちがバスに乗り込んで来て、不審だと思われたパスポートを返して回る。
それまで「あの人パスポート持ってかれたわよ、不審者かしら?!」と思われた人達にしてみたら、はたはた迷惑なことである。
と、今度は乗客全員、外に出ろとの命令。
・・・え〜〜〜〜。
みんなが心の中で叫ぶ声が、吹き出しになって見えるようである。
仕方なさそうにみんなぞろぞろと乗り込み口の方に向かうと、そこには警官と警察犬。
口輪を外された警察犬の鼻ッ先をかすめて通るのは、なにもやましいことがなくても怖い。
みんな「旅行前に、こんなところで犬に噛まれたくない」という悲痛な表情を浮かべながら降りる。
なにしろ夜中の2時である。寝起きだし寒いし機嫌が悪い乗客が、ずらりとバスの横に佇む姿は、なかなかに異様である。
とりあえず全員、犬に捕まることなく降り終えて、やっと警官も納得したらしい。
またぞろぞろとバスに戻されて、やっとイタリアに入った。
これに要した時間、1時間あまり。
そしてまた長いバスの旅は続き、結局2時間遅れでローマに到着した。
続く。